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第4回
 神戸市看護大学・助産学専攻科教授 高田昌代さん

高田昌代さん

今回ご紹介するのは、助産師の先生。

頂いた履歴書にはご自身の経歴と、加入している学会や携わっている社会活動がびっしり。日本助産学会を初めとして8つの学会に所属、そのうち2つで役員や評議委員。社会的活動は「(社)大阪府助産師会子育て女性の健康支援センター」センター長を初め、なんと14。もちろん教授としての本業もあり、さらに4人の子どもを持つお母さんの顔も。

一体そのパワーの源がどこにあるのか、お話を聞いてみました。




助産師を目指したのは偶然の巡り会わせでしたが、自分にとても合っていたと言います。
「お産は医学という『科学』と、妊婦が巻く腹帯に代表される『文化』の融合です。お産はとても神秘的なもので、祈りに似た呪術的な一面もありますし、『出産』そのものだけでなく、お産する女性の身体と心を丸ごとケアする助産師の仕事がとても面白かったんです」。
卒業後、病院勤務を経て修士号を取得。その後は教員として助産師を育成する立場になりました。

結婚・出産等を経て、大学の医学部保健学科で講師に、その後助教授として教鞭をとります。そのころから、日本では助産師育成の過程に変化がでてきました。
「4年制大学で、看護師を育成するところが増えてきました。その際、保健師と助産師の資格も、その4年間で同時に取れるようになってしまったのです。」

資格を取るための必修単位も減り、充分な実習なしでお産の現場に出て行く卒業生。
「これはいかんと。私って、すぐ怒るんですよね(笑)。助産師の育成にもっと力を注ぎ、助産師の仕事の大切さを認識してもらいたい。」
それが、女性を尊重することにつながる、と強く感じた高田さん。現在勤務する神戸市看護大学で、助産学の教授として、一層助産師教育にまい進することになりました。そして、昨年日本の大学で始めて「助産学専攻科」を創設。4年間の学部教育の後に入学する修士課程の位置づけで助産師のプロフェッショナルを育てます。「ここでやっと一つ、突破口が開けたんです。」



出産は女性にとって、育児、自分の人生、自分の身体を考えるきっかけになるもの。病院の分娩台の上だけではなく、日常生活の中で自然なお産をして欲しいと、高田さんは言います。

理想の出産は自宅のベッドの上で。そのためには、若い時から健康な身体を作って妊娠してほしい。その思いから、思春期の子どもたちの性の相談に乗る「ピアカウンセリング」事業を行っています。大学生をカウンセラーとして養成し小・中・高校などに派遣。子どもたちと気軽に話をし、悩みを打ち明けてもらうというものです。

また、ドメスティックバイオレンス(DV)という言葉が日本で知られるようになる前から、DV防止の活動にもかかわっています。
幅広い年代の女性に関わる中で伝えたいのは、性の自己決定。そして「自分の人生は自分で決める」という事。とにかく女性の味方でありたい、女性の身体と心を守りたいという強い意志が伝わってきました。



中学2年生から保育園年長まで、4人の子どもを持つ高田さん。ご自分の子育ての方針は?
「自分の力で生きていける人間を育てる。それが育児のゴール、目的です。そのために、何でも自分で考え、決めさせるようにしています。親として意見は言いますが、こうしなさい、とは、なるべく言いません。」

例えば寒い日に薄着で出かけようとしている子に「寒いからこれを着なさい」ではなく、「お母さんは、それでは寒いと思う」とだけ言う。それを受けて、着替えるか、そのまま出かけるかは子どもが自分で判断する。結果はその子の責任です。確かに、自分で考える力が身につきそうですね。「(普段子どもたちの面倒をみてくれている)母には『だから、あんたのところの子はうるさいのよ』なんて言われてますが(笑)」。

感性を育てることも大切にし、時間があると美術館・博物館に出かけます。本を読むことも重視しているそうです。「でもね、何事にも、完璧ということはありえないです。心がける、ということでいいと思うんですよ。」

よくおばあちゃんが子どもに甘いお菓子を食べさせ過ぎて困る、という話を聞きます。高田さんは、自分の育児の方針と祖父母の接し方が違っている、という事はないですか?
「やはりそれも、完璧でなくていいと思うんです。自分の方針だけを徹底させるのではなくて、おばあちゃんに文句を言う前に自分で子どもに歯磨きをしっかりさせる。相手をコントロールするのではなく、自分ができることをする。それが先だと思います。」



仕事に、社会活動にと充実している高田さん。将来の夢などはありますか?
「初めての出産の後、地域助産師として新生児のところへ訪問して、新米ママの相談に乗っていました。思えば、あの頃が一番楽しかったんです。将来はまた地域に戻って、助産院をしたい。白衣なんて着てなくて『ふつうのおばちゃんで、ちょっとお産に詳しい』みたいな、身近な存在になれたら」

それはいつごろになりそうですか?
「ちょっと、いつになるか分からないですね。助産学専攻科がやっとここで一つできたところ。これから助産師のプロフェッショナルを増やして、産婦人科だけでなく助産院も、出産の場としてもっと選んでもらえるようにしたいし、まだまだ次の世代のためにすることがたくさんありますから」



取材後、駅まで車で送って下さいました。カーラジオからは国会中継が。
「いつも聴いてるの。もうね、聴いてたら腹が立つよ〜(笑)。」

社会の矛盾・不正に怒る事、そしてただ愚痴るのではなく怒りをポジティブな力に変える。自分自身で行動して、次世代のためにもその矛盾を正していく。育児についてもおっしゃっていた「他者をコントロールするのではなく、自分のできる事をする」というのが全てに一貫した高田さんの基本姿勢だと感じました。これこそが高田さんのパワーの源であり、これは今、この社会に生きるすべての人に必要な考え方だと思います。

研究室にはキムタクのポスターが貼られ「それ、いいでしょ」と。

パワフルではあるけれど「押しが強い」タイプではなく、気さくで包容力を感じる人柄。自然と周りに人(と仕事)が集まってくるのもうなずけます。私もいつかはこんな本物の「大人」になっていたい、そう思える取材になりました。

 



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