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第6回
 チャイルドセラピスト 中山美和さん

中山美和さん

今回、中山美和さんをお尋ねしたのはくらむぽん事務所へ届いた一冊の本とプロフィールがきっかけでした。

司会業、チャイルドセラピストというプロフィールを見て、華やかでパワフルなイメージを抱いていたのですが、お会いするとさすがにタレントさん、細くて小柄でとてもお子さんがいるようには見えません。凛と響く声と大きい瞳が印象的な女性でした。

出版間もない「ボクの取り扱い説明書~ママは新米セラピスト~」(新風舎)というこの本は、現在8歳になる息子さん、リリ君の子育てとセラピーへの思いを綴ったエッセイです。

生後3ヶ月のうちに2度の大きな手術を受け、22.q11.2欠失症候群という先天性の疾患からくる問題を抱えながらやがて幼稚園に入園しました。しかし、馴れない集団生活で心を閉ざしてしまうリリ君。障害のレッテルを貼る専門家、心ない発言をする担任の先生。その狭間で悩む美和さんがセラピーと出会うことで、リリ君と美和さんに少しずつ道が拓けていく過程が描かれています。
ボクの取り扱い説明書

区切り線

——
そもそも本を出版されたきっかけは?

ハートステップ・カレッジの講師の先生から「心の中に溜まった怒りをまだ完全に昇華できていないのでは?」と指摘され、どうやってあふれる思いを表現したらいいのか考えていた時、電車の中で「新風舎出版賞」の広告を見つけました。これならみんなに思いを伝えられると応募したところ、入賞は逃したものの「出版化推薦作」という評価を頂き、出版することになりました。

・・・・ご主人も、将来子どもたちが大きくなったときにこの本を読んで、家族にこんなに愛されていたということがわかってくれればいい、と言ってくれたので踏み切れたそうです。

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———どんな風に読んでほしいですか?
同じ様なこと(ママ友とお話ししても相談できない、子供のすることが遅い・出来ないことが多いなど)で悩んでらっしゃる方に、自分の子育てに置き換えて感じながら読んでもらえたらいいと思います。読んでくださった方に感想をうかがうと、「自分自身の子ども時代や親との関係を振り返ってみた」「今まで子どもには大人の立場から教えてやらなければならないと思っていたが、子どもと同じ目線の高さで寄り添い共感することの大切さを感じた」、と皆さんが『自分だったら子どもとどう接するか』と身近な話題として捉えてくれているみたいです。

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———私の周りでも軽い自閉症や学習障害のお子さんがいたり、取材した幼稚園でもボーダーに近いお子さんが増えているという話もありました。22.q11.2欠失症候群というのは先天的に身体の様々な所に影響のある疾患ですが、その現れ方は人によって十人十色だそうです。その不安から、ある場面で黙ってしまったり、かんしゃくをおこしたりする症状を、広汎性発達障害(PDD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)ではないかと言われた時そのまま受け取ってしまったようですが?
実際、公的機関や医療機関に相談に行っても、「この程度だと診察の順番は回ってこないよ」とか「軽い人は相談に来ないで」と言われました。障害だと診断されないと、何の支援も療育も受けられません。障害だと診断が下りなくても、悩んでいるのは事実で普通に生活することが大変なのには変わりがありません。必要なのは診断名ではなく、彼に合った援助だったのです。でも忘れ物が多かったり、みんなについていけないことがあっても、こちらも笑ってすますようになり、だんだん気が大きくなってきました。(笑)今では、自分のことはきちんと自分で出来るし、緘黙やかんしゃくもなくなりました。リリ君を見ていて気づいたことは、子どもが伸びる時期はそれぞれ違うので、無理強いせずその子の成長のタイミングを待ってあげることの大切さです。

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———セラピストとしてどんな活動をされていますか?
ハートステップ・カレッジのチャイルドセラピスト講座でアートセラピーやプレイセラピーなどを学んだ後、アシスタントをしながら、1級の資格を取りました。現在は体験レッスンの講師をしています。また、NPO法人日本心理療法士協会が主催する「レインボーランド」では、他のセラピストと一緒に子ども対象のアートセラピーをしています。そこで子どもたちは、お絵かきや創作など好きなことをしてのびのびと自分を表現しています。また4月からは、地元のカルチャースクールで大人対象のセラピー講座の講師をすることになりました。

・・・・現在も大学の通信教育学部で心理学を専攻し勉強を続けていらっしゃいます。母親と子どもの癒しのためセラピー・カウンセリング事務所「office Cocoon」を立ち上げ、セラピーをもっと身近に感じてもらえるように活動中。近々、住之江区にセラピールームをオープンされるそうです。

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———セラピーを受けることの意義は?
セラピーというのは、自分の内面を自分自身の力でもう一度見つめなおすという作業です。子どもの頃の自分を癒し、自分自身のことや家族のこと、生い立ちなど色々なことをヒントに、今おかれている状況や心の奥底に眠っている本当の気持ちに気づいてもらえればと思っています。子どもの時に何かトラウマを抱えている人は、案外自分の子どもに、イヤだと思いつつ同じようなことをしてしまっていることがあります。ストレスは心のどこかで‘しこり’になり、無意識のところに溜まっていくのです。お母さんがセラピーを意識して子どもと適切なかかわりを持つことで、子どもだけではなく、お母さん自身も子どもと向き合うことが楽になります。私はこれを「セラピー的子育て」と呼んでいます。例えば、お絵かきの時間は立派なアートセラピーの時間なのです。セラピー的に見れば子どもが描いた絵にはたくさんの情報がつまっています。色使いや線の強弱、何をモチーフに描いているかで子どもたちの心理状態をうかがえるのです。

子育てに困った時は育児書を読む人も多いでしょう。育児書には立派な母親像が並んでいます。本の通りにすれば良いことはわかっているけれど同じようにはいかない、そのことで罪悪感をいだいたり、落ち込んでしまうこともあります。朝「今日こそは笑顔で子どもとかかわろう」と思ったけれど、夜になって気づくと、結局一日中怒っていた、そんな毎日にもがいているお母さんの話も聞きます。その悪循環を抜け出すきっかけがセラピーです。

セラピストは相談を受けた時、支持的なことやアドバイスは言いません。共感しながらも、冷静にその人自身の本当の姿を見ています。そして、相談者自身が自分で答えに気づくように寄り添い、導くのです。悩みがあるときは、ママ友達などに相談する人も多いようです。悪いことではないのですが、友人等に相談しても変な方向で盛り上がってしまったり、身勝手なアドバイスをうけて自分がしんどくなったり、相談する人によってコロコロと意見が変わって、本当に自分のとるべき道がわからなくなってしまった、なんてこともあります。周りの人に相談する時は、自分の意見を押し付けず「ただじっくりと聞いてくれる人」に聞いてもらうのがいいかも知れません。

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今ではやんちゃなくらい元気に小学校に通うリリ君。この春からは3年生です。4歳違いの妹さんはしっかりしていてママも心強いようです。自宅の壁にはリリ君の芸術的な作品が飾ってありました。

も本を読ませていただいて色々思いつくことがあり、皆さんにも読んでいただきたいと思いました。今後の美和さんの活躍に期待です!

リリ君の作品リリ君の作品
 <問い合わせ先>
「ボクの取り扱い説明書 〜ママは新米セラピスト〜」
ISBN4-7974-8010-6:
新風舍 http://www.pub.co.jp

チャイルドセラピスト養成講座
ハートステップ・カレッジ http://www.heart-c.co.jp/

レインボーランド(子供向けアートセラピー):  
NPO法人日本心理療法士協会 http://www.j-pt.org/



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